メイツ星人ジュニアの復讐の巻

Q:なんでGUYS作戦室が暗いんですか?
A:作戦室が暗いとMATっぽいから。
いや照明だけ落としてもMATの暗さは出ませんが。


ビオはなんであんな計画で地球に来たのかなあ。
自殺願望としか思えない。GUYSスペーシーの防衛網、ガンフェニックスの迎撃、リュウの射撃、そしてメビウス、誰にやられたっておかしくないというか、むしろ殺されるのが目的であるかのよう。

わざわざ「地球のムルチに似た」宇宙怪獣ゾアムルチ*1を用意したのも、悪意というか嫌味というか。
自分の命と引き換えに後味の悪い事件を演出する意図を、無理に読むなら「ウルトラマンに地球人の愚劣さを見せつけたかった」のかな。


逆に園長先生に言いくるめられておのれの愚劣さを呪う羽目になったビオ、そもそも彼は今回の計画を実行するに当たって重大なことをひとつ見落としている……
先代が地球の大気汚染に身体を蝕まれたことを知っているなら、宇宙服(否、地球服か)を用意してくるべきなのですよ。
ふつうに素顔さらしてる時点で30年前の地球と少しは違うのだ。


円盤を掘る少年と出会った少女が園長先生、なんてキャラ配置はなかなか巧妙。
ビオとリュウが対峙してる場面にとーとつに明るく割り込む場面は「おばちゃん空気嫁」とか思ったが……いや、世間の空気を読んで動く日本人の性分が先代を殺したと読めば、そこも30年前と少し違うところか。
ビオとリュウの空気を「あえて壊す」決意の表情なんか1カットあったら良かったのだけど*2
できすぎた幼稚園児はズルイ。
まあ、「純真な子供の心が復讐に荒んだ男の心をナントカ」なんて定番のオハナシをちょっと上手に作ったくらいでは、70年代特撮ブームの狂気の極致みたいな「怪獣使い」の鎮魂にはならんけども。だからっていきなりあれに匹敵する狂気とか発揮されても困るしな。


ただ、最大の違和感はなんで円盤少年があんなに明るいのか、という……
いや、ウルチャンでも見逃したから、正直「怪獣使いと少年」はあらすじしか知らないけれど、あの終わり方で何年も円盤掘ってて、ああは明るくなれないと思う。
それ言ったらこの話成り立たないか。

追記

Webメビナビによると、ゾアムルチはメイツ星人が10年前に地球で捕まえて育てていたんだそうな。
……悪意満タンじゃん!! 10年間冷ましに冷ました復讐の味*3じゃん!
ていうか10年前なら、地球にウルトラマンいなかったしやりたい放題だったんじゃあ。
ムルチがすげえちっちゃかったとか? いやまあ、やはりここはビオの悪意はウルトラマンに向いていたととるべきでしょう。

やっぱりメイツ星代表ってフカシですよ。そのわりに「賠償に陸地の20%」なんて、呑めない要求を出して報復を正当化しているんですが。「謝罪と賠償」は失笑しちゃうなあ、やっぱり。


コメントに書きましたが、今回は厳密な意味での続編(原典の登場人物のその後を描いた話)ではなく、原典を「同胞の引き起こした悲惨な事件」と定義して、後世の人々がそれをどう受け止めていくかという話に置き換わっている。
原典は「事件」で今回は「歴史」の話なのかな、と考えるとアプローチは悪くない。

舌足らずなのは、脚本がカットされたから?(まあ、30分におさまらないホンを書くなというのも正論か。直木賞作家だろうと脚本は未経験)
あと、時期もよくなかったかな。ミライの正体バレの影響が微妙な状態で、こういう微妙なテーマを扱ったおかげで、リュウもミライも感じ悪い。
そのくせサコミズと園長先生ばっかりいいこと言うからなあ。(サコミズさんはいいこと言う前にサクサク指示を出してほしかった)

まあ、稚拙なところも作りすぎたところも多くて、ウェルメイドなわりに完成度が低い話ではあるんだけど、まるっきりダメでもなかったというか。
原典を知らない子供に向けた「いい話」にしようという方向性は間違ってないと思うんですよ。(ワタシが想定していたのはそれこそ良少年のその後を安いハッピーエンドにしてしまう「続編」だったから(^_^;))

*1:メビウスにおける再解釈で、ムルチがメイツ星人の用心棒怪獣として設定された可能性もちょっとあるか。するとドラゴリーにさばかれた2代目の影にもう一人、地球で非業の死を遂げたメイツ星人が!?

*2:ただ空気の読めないだけの人だと、空気で動く連中に各個撃破されるからなあ。日本人の性分がそんなんである限り、ある朝起きたらファシズム国家になっていた、なんてことも案外あり得ると思う。

*3:「復讐の味は冷めれば冷めるほど美味い」って、出典どこだっけ?