お昼のニュースです

千葉の8人ひき逃げ事件の容疑者逮捕、安城のヨーカドー通り魔供述ときて小林薫実況見分の3ヒットコンボで思わずメシがまずくなる。
でもこの中でほんとうにニュースなのは千葉の事件だけなんですよ。
なぜなら「容疑者が逮まった」、つまり「8人をひき逃げして逃げた犯人はもう野放しではない」という情報の提供だから。


岡本喜八の『殺人狂時代』で、天本英世扮する殺人組織の首領が「人間にとって最高の快楽とは、何だと思いますか? 殺人ですよ」と主人公に語ります。
誰もが誰かに殺意を抱きながら暮らしている、ニュースのトップを飾るのは殺人か戦争だ……。
観たのはもうずいぶん前なので正確なセリフは忘れましたが、印象深い場面です。
それ以来、ニュース番組で語られる殺人事件のディティールが、恐しくなった。
こんなの報道の美名を借りた、ただのゴシップじゃないか。


ふだんヒーローもの――正義のもとの殺戮という側面は確かにある――を娯楽として楽しんでるだけに、現実の殺人事件が娯楽として消費されている、という側面が恐ろしいのだと思います。


それにしてもこの3つの事件全部三十男(少なくともうち二人は独身)が起こしてるわけで、同じ独身三十男として肩身が狭い。