HALアルプスを行く
24時間TVとNNNドキュメントと、きょうの出来事に出てました。
脊損の人がロボットスーツHALの特別仕様でアルプス登山に挑戦*1という話は4月ごろ新聞に出たとき見ていて、スゲーなと思ってたわけですよ。
こないだ思い出してチェックしたら4000メートルまで登ったけれど、登頂はできなかったとのこと。
で、軒並み新聞の見出しが「登頂断念」みたいな感じでゲンナリ。
確かに目標はブライトホルン登頂で、それを断念して帰ってきたのだから、嘘じゃないんだけど、登っただけでも凄い事なんだと言いたい。
行ったけど登れなかったとか、登ったはいいけど体を悪くしたとか、最悪事故の可能性だってあったと思う。
まだ製品化途上のHALが、現場で動かないなどのトラブルに見舞われる可能性だって少なくなかったはず。
もちろんHAL製作スタッフは万全を期しただろうけど、いざとなると思わぬトラブルに遭うのがハイテクというものだし。
実際最後の100メートルほどはHALをやめてそりで登ったという話で、マシントラブルなのかそうでないのか、気になってたんですね。
番組によれば、どんどん急になる坂を登るのに転倒の危険があったことと、登坂に伴う振動でおぶわれている人の呼吸が苦しくなったのとが主原因だったようです。
HALの調整に時間を食われた側面もあったようだけど、大きな故障などはなかったのかな。
それでなくても呼吸の力が弱ってるところへ、気圧の低い高山に登るのだからやっぱりつらい。そりゃそうだよなあ。
だからこのロボットスーツによる障害者のブライトホルン登頂、目的が果たせなくても限りなく成功に近づいたと思うわけです。
それも、障害を受けてからふと見た写真で魅せられたブライトホルンに、20年越しで挑んだ……美しい話じゃないですか。
一緒に挑んだ筋ジスの男の子は、「ここが僕たちの頂上だ」と言ったという。
同じセリフをワタシも筑波山登ったとき、女体山山頂の7メートルの突き出しを見て言ったですよ。
そこまで、パンクラスの佐藤光留選手をはじめ5,6人のボランティアの人に、100kg近くある車椅子を運んでもらって。
もう登山道とはいえ岩はゴツゴツ飛び出してるし、足場は不安定だし、地面はぬれてるし、知ってたら全体行きませんよそんなとこ(笑)
やっとの思いで877mのうちの870m登ったけど、最後の7mは道も細いし険しいし、とても大勢で車椅子運んで上がるのは無理。
「いやもう、ここまで来れたらもうここが僕らの頂上ですよ」
そしたらそこに鈴木みのる選手が現れて、
「何言ってんだ、ここまで来たら頂上登んなきゃ駄目だよ」
言う人によってはものすごく軽率で無責任にもなりうる言葉だけど、このとき鈴木みのる選手は背負子に一人障害者を乗せて、山頂から降りてきたところだった。
これに発破をかけられて、僕らも背負子を借りて山頂登りましたよ*2。
仰向けに担がれて見渡す関東平野は、まるで空を飛んでいるようで。
……うう佐藤選手、昨日の試合は残念でした(;_;) また応援に行きます。
だから、またいつか、彼らにはブライトホルンの山頂を征して欲しいと思います。
今回の経験を糧にして。
(ワタシが言うと無責任かなー……筑波山といっしょにすんなと言われそう(^_^;) ブライトホルンには上から降りてくるヒーローもいないわけだし……)